π型

トリマーの利点はルーターに比べて
①小さく軽い(収納場所も、プレートもテーブルも小さくてよい)
②取扱いが容易で恐怖感がない(使う人に優しい)
③本体の値段も電気代も安い(財布にも優しい)
ことでしょう。
ワニ工房では小さいものを作ることが多いので、ハイパワーのルーターを使わなくてもトリマーで十分できることがほとんどです。
こんなトリマーの利点を生かすために小物に特化したシンプルなものを作ってみました。テーブルトップは円形(丸椅子用のMDFt=25)です。

折り曲げてFクランプでベンチに固定。π型の由来です。

テーブルトップがそのままでは厚すぎてビットが出てこないのでプレートの形に15mm掘り込みました。表から皿ネジで固定しています。

フェンスはピボット式とし、片側はテーブルトップにノブボルトで固定、反対側はCクランプで固定しました。
これならフェンスも含めて2時間もあれば余裕で作れるにもかかわらず、簡単な作業では文句なしの性能を発揮してくれます。さらにコスパは抜群(残材で作れる)だし、使わないときには腰掛けや足台にもなります。
問題点は見た目があまりにもチープであることくらいで、初めて作ったトリマーテーブルとしては大成功でした。
その後、これをベースに改良が進み、使用頻度が減ったため友人にもらわれて行きました。

簡易型0号

ベンチに固定するならバイスに挟めば簡単に固定できます。テーブルトップを挟めるようにすれば脚の事を考える必要がありません。
π型の脚の代わりにバイスで挟むための板をつけただけの超シンプルな構造とし、フェンスも省略してコロ付きビットで面取り専用としました。
見てくれはさらにチープになった分、製作時間は30分以下。使わない時は壁にぶら下げられるので収納場所がいらないというメリットもありますが、ぶら下げておかないとゴミと間違えて捨てられるかもしれません。
後に円盤用スロットを追加しました。

バーはルーターコンパスのものをそのまま借用しています。

簡単にきれいな(正確な)円盤が作れます

簡易型1号

テーブルトップが円形ではフェンスとの相性が悪いので少し改良しました。フェンスはπ型のを少し改造して流用しました。

この向きにも固定できます。

テーブルトップは軽さを重視して10mmのMDFを採用。

裏から

フェンス固定用に円弧状にスロットを切り、堅木でTボルトを作って固定する方式としました。
これもぶら下げられるのでじゃまにならないし、シンプルさは魅力的だと思って作りましたが、使って見ると問題点が発覚。
フェンスの後ろが余っている割に前の作業スペースがちょっと狭い。
集塵機のない環境ではスロットにすぐ削り屑が詰まってしまいます。

簡易型2号

同じくベンチに固定するものとし、テーブルトップも同じく10mmのMDF。
ピボット式のフェンスはバーのみの超簡単なものとし、外から挟んで固定することにしました。

コマを作って外からテーブルトップを挟みます。
使わない時は壁にぶら下げておけるのでじゃまにならないし、これはイケると思いましたが新たな問題点が発覚。
10mmのMDFではちょっと頼りない(剛性が足りない)。テーブル前面が広すぎるのも原因かもしれない。

簡易型3号

同じくベンチに固定する方式としました。(この方法だけは譲れないと意地になりつつある)
テーブルトップは透明アクリル板t=10mmとしました。MDFに比べると圧倒的に剛性が高いのは使ってみるとすぐわかります。

フェンスはL型のものを2種類作りました。背の高い方はフェザーボードやビットガードが付けられます。

フェンス固定用のコマも大型になりました。

これでベンチに固定する簡易型トリマーテーブルの最終形を極めたと思います。
簡易型2号は別の友人にもらわれて行きました。

自立型1号

簡易型とは別にぜひとも自立型が欲しいと思い作ってみました。ルーターやトリマーは深さやフェンスからの離れの調整が微妙なので一度テーブルにセットしたらそのままにしておきたいのが人情です。もう一台あれば別の作業をする間そのままにしておいてまた戻ってこられます。
細かい作業を前提に、トールボーイ型H=1000mmとしました。

テーブルトップは24mmのMDFを使用し、インサートプレートは透明なアクリル板10x140x180mmで作りました。テーブル面にはマイターゲージやフェザーボード用に19mmのスロットを切りました。

フェンスはMDFとパイン集成材をL型に組み合わせました。固定方法はピボット式とし、テーブルトップに円弧状にスロットを切り、Tボルトとカムクランプで固定しました。ピボット式はフェンス位置の微調整がやりやすいというメリットがあります。

ビットガードやストッパー、フェザーボード等を取り付けるために背の高いフェンスとし、Tスロットを2段切りました。

RYOBIのTR40です。

インサートプレートごと取り外せます。

抽斗をいっぱい付けたのでビットの収納力は期待できます。

これはかなり気に入っていましたが、集塵機がない環境ではスロットに切削塵が詰まるのが難点です。

自立型Mk2号

自立型1号にはTスロットに削り屑が詰まるという致命的な欠点があり、改造に着手しました。
スロットをなくすついでにテーブルトップを人工大理石にしました。
テーブルトップのMDFは再利用することにして、左右逆にして穴を開け直しました。

テーブルトップの人口大理石(10mm)は両面テープでMDFに固定します。

インサートプレートは透明な8mmのアクリル板とし、高さの微調整用に四隅にイモネジを設置。受け側はネオジウム磁石としました。インサートプレートの高さ微調整はやりやすいですが、モーターの振動によりイモネジとネオジム磁石の接点から耳障りな音が出ます。

フェンスは同じくピボット式とし、バーチ合板とパイン集成材で作りました。中央部のみ背を高くしています。テーブルトップを外から挟んで固定することによりスロットをなくする構造としたために長くなっています。アルミのマイタートラック(19mm)を設置し、マイターゲージやフェザーボードを使いやすくしました。

フェザーボード等はすべて流用しました。

フェンス背部に着脱できる集塵アダプターを追加して集塵機に対応しました。

自立型Mk3

トリマーテーブルMkⅡが使い勝手がとてもいいので、さらに欲を出しました。
まず、外付けのパドルスイッチを追加。
緊急時に素早く止めることに特化したスイッチで、手袋をはめた手で手さぐりでも止められるようにやたら大きなプレートとなっています。初めて実物を見た時にはいくらなんでもこの大きさはないと笑っちゃいましたが、慣れてしまえばこれもかわいいいし半端ない安心感もあります。
このスイッチは磁気式で、使用中に停電したままうっかり放置しても回復した際にONにならないという優れものです。

プレートを介すると振動によりイモネジとネオジム磁石の接点から音が出てとても気分が悪いのでリフトをテーブルトップに直付けとしました。穴の位置を失敗するとテーブルトップそのものがやり直しとなるのでプレッシャーは大きいですが、トライする価値はあると信じてやってみました。
ピボット式のフェンスは微調整がやりやすくて気に入っていましたが、
 ①テーブルトップが円弧状に大きく膨らむ
 ②フェンスが離れる量によってフェンスのセンター位置が定まらない
 ③材を送る方向が一定でない
というデメリットもあり、パラレル式に変更しました。テーブルトップがスリムになりました。

ビットの径により各種インサートプレートを5mmのアクリル板で作りました。
インサートプレートは嵌めただけだと風圧で吹っ飛んでしまうので何らかの方法で固定する必要があります

フェンスは少し改造して流用

ビットガード、フェザーボード等も流用

トリマー用のリフトを導入して上から深さの調整、ビットの交換ができるようにしました。
リフターはAmazonでφ65mm用を見つけ、φ60mm用に少し改造しています。
当初は3Dプリンター用のパーツを入手して自作しようとしていましたが、作ってみて木という素材がいかに扱い易いかを思い知らされました。木なら0.3mm程度の精度があれば文句なしで組み立てられますが、金属ではそうはいきません。紙1枚くらいの微妙な精度を要求されます。
いろいろとトライアルしてみましたがビミョーなガタが修正できず、またネジのピッチが荒すぎて困っていたところで、市販のトリマー用のリフターをAmazonで見つけ、方針変更してしまいました。

未完成の自作リフター。そのうち完成させたいと思っています。